朝のラッシュは始めての人間には到底耐えられるものではない。たとえ、隣の可愛いOLと密着し、いけない妄想に時の経つのも忘れかけても……
そして、今日も寿司詰めの満員電車が東京に向かって走ってゆく。
災いは何処で起きるとも言えないが、俺の場合は実に呆気なくやって来た。
突然の急ブレーキに満員電車の乗客の全てが押し寄せてきた。俺は先頭車両の運転席とを仕切る壁に佇んでいた。当然、釣り革に掴まれない人々が態勢を崩し、俺の方へ倒れ掛かってくる。それは俺の近くの戸口にいた人々だけには止まらなかった。その隣の扉付近の人々も倒れ掛かる。また、その隣、その隣と俺のいる先頭車両の全ての戸口で人々が倒れ掛かってくる。その勢いは手すりや釣り革に掴まっていた人々の手をもぎ放し、俺に向かって押し寄せてくる。
先頭車両1車両分の人々の体重をまともに浴びて、俺の肺はペシャンコに潰れ、息をする事も出来なくなった。もちろん、叫び声を上げようにも、肺から全ての空気が抜けてしまった為、グウの音も出ない。
そこへ、隣の車両からも人が押し流されてきた。
俺の乗った電車の全ての人々の体重を一身に受けた時、
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