俺と彼女は入れ替わったのだけれど、認識は元のままだったが…
俺は自身の肉体が「女」であることを認め、そのことを知らしめた。
彼女の着ていた服を譲り受け、それを着ることにした。
お化粧も覚えていった。
当初は「女装している」としか認識されなかったが、次第にその姿が本来の「俺」であると認知されるようになっていた。
「ユウちゃん、可愛くなったね♪」
そう言う彼女も以前の「俺」の服を着るようになっていた。
完全に彼氏/彼女の関係が逆転してしまっていた。
「これ…受け取ってくれないかな?」
彼女が差し出してきたのは…指輪…だった。
「結婚して欲しい。」
彼女のプロポーズはとても男らしかった。
「うれしいわ♪よろしくお願いします♪」
俺も女らしくプロポーズを受けていた。
既に、俺の内には赤ちゃんが育っていた。
俺と彼女の愛の結晶である。
そう、俺は「母」になるのだ。
お腹が大きくなるので、これまでのように彼女が着ていた服では間に合わない。
俺自ら、女物の服を買うようになっていた。
化粧品も自分で選び買い足している。
そして、俺の指には彼女から貰った指輪が光っていた。
「ボクも着たかったな…」
ウェディングドレスを選んでいると、そんな呟きが聞こえた。
「良いんじゃない?二人ともウェディングドレスだって♪」
彼女は俺程新しい性別が認識されている訳ではない。
時々以前の彼女の服を着て出歩いているが、誰も気にするようなことはなかった。
「いいの?」
「とりあえず着てみない♪」
鏡の中に映っていたのは、幸せに包まれたふたり(+α)だった。