姦刑



「いや〜〜〜!」あたしは叫び声を上げるしかなかった。男は手にした鋏で最後の一枚となった水色のショーツを切り裂いていった。手足を縛られたあたしには何も…
 あたし?…お、おれ…俺は急速に目覚めていった。
 
 現状を認識する。俺は大和健、24才(男)。しかし、現時点では俺の肉体は女としか判別できない。見下ろすと胸元に色白の肉塊が存在する。手足を拘束されているので十分な確認は出来なかったが、部屋の片すみにある鏡に映った姿から判断すると十代後半の女の子のようだ。床の上に散らばった紺色の生地はセーラー服の成れの果てに違いない。
「どうした?もう観念したとでも言うのかい?ボクはもっとかわいい声で啼き続けてもらいたいんだよね。」そう言って男は俺の胸に手を当てると思い切り乳房を捻りあげた。「っ…」俺はその痛みをかみ殺した。
 当然、男の欲求は満たされない。ついでのように平手で俺の頬をはたくと、足の戒めに手を掛けた。もちろん自由を与えてくれる訳ではない。半分吊り下げられるようにして俺は脚を広げたまま固定された。
 衣服は全て剥ぎ取られているので、当然のように俺の股間が男の前にさらされる。
 そして、そこにあるのはチンポではない。女のオメコが全開されているのだ。
 
 俺が女であればこのような恥辱には耐え切れなかっただろう。が、俺は男だ。多少の羞恥心と屈辱感はあるものの、耐え切れないものではない。俺は男の顔を見据えてやった。
「ふ〜ん、そうきたね。」男はにやりと笑った。「それではボクもやりかたを変えなくてはね♪」男はどこからか取り出したビンの蓋を開けると、中の液体を俺の開け放たれた股の中央に垂らしていった。股間をこぼれ落ちる液体は俺の体を這進むうちに皮膚から吸収されてゆく。それ以上に多くの液体が秘洞の粘膜から吸収されてゆく。液体を吸収した処が熱を帯びてくる。むず痒さと共に汗が噴き出してくる。
「俗に言う催淫剤だよ。ボクの言うことを聞いてくれればご褒美をあげるね♪君はいつまで我慢出来るだろうね?」男はそう言って火照った俺の股間にフッと息を吹き掛けた。その途端、俺は猛烈な快感に意識を飛ばされてしまいそうになる。
 
 男の責めが繰り返される。「あん、あぁん♪」俺はいつの間にか女のように喘ぎ声をあげていた。
「そうそう、良い声だよ。もっと啼いておくれ♪」俺は拒絶の意味も込め顔を背けたが、男の責めには堪えようも無く俺は喘ぎ続けるしかなかった。
 
 ビクッ!!
 
 突然、感電にも似た衝撃が身体を貫いていった。男の指が俺の股間に差し込まれたのだ。俺の=女の肉体が勝手に反応してしまう。股間に蜜を溢れさせ、更なる快感を求めて腰を振っている。
「ほら、おまえの下のお口が物欲しそうにヒクついているぞ。何が欲しいんだい?」
(……指が……入れて……もっと奥まで……お願い♪……)
 俺は喉元まで込み上げてきた声を必死で押さえ込んだ。しかし、身体は言うことを聞かない。俺の股間は勝手に男の指を締め付けてゆく。男が指を動かす度にもたらされる快感に体を打ち震わす。喘ぎ声が嬌声に替わり、いつしか俺の口は男のモノを求めていた。
 
 男の勃起したチンポが俺の口に差し込まれる。俺は舌を伸ばしてそれを迎え入れていた。口の中で刺激してやると硬さが増してくる。ちょっとした刺激の与えかたの違いで男の息遣いが変わってくる。俺はチンポの温もりに愛しさを感じていた。
 男の息遣いが荒さを増してきていた。幾度となく達しようとする寸前で焦らしてきたが、既に先走りも止めようもなく、彼も我慢の限界にあった。亀首を軽く絞めてやると、彼のチンポは大きく震えた。そして堰を切ったように、ザーメンを迸しらせる。俺は喉を鳴らしてそれを飲み込んでいた。
 
 
 
 
 
 ピチャピチャと音がする。
 俺はベットに移されていた。男は俺に股を開かせ秘部に溢れる蜜を嘗めとっていた。既に男のチンポは回復していた。俺はじっとして、その時が来るのを待っていた。男のモノを自分の身体に受け入れるという事への不安と、もたらされるであろう快感への期待が入り混じっている。男には絶対に知ることのできない、そして俺の女としての初めての経験である。
 音が止んだ。
 男が態勢を整えている。男の腕が俺の腋の下に突き立てられる。開かれた俺の股間に男の腰が押し付けられた。男のチンポの先端が幾度となく股間に触れる。俺のオメコを探しているのだ。
 そして、その時がやってきた。チンポが俺の中に侵入してきたのだ。
 指ではない。有るべきものがピタリと収まった。その充足感だけで俺はイッてしまう。
 彼が腰を振っていた。チンポが俺の中で動いている。クチャクチャと二人の性器が淫靡な音を発てている。「あん、あん、あん…」自然と声が出てゆく。自ら発する媚声が更に快感を増幅する。再び高まりを迎える。そして、頂に達したと思った先には更に高い頂きがあった。
 俺は際限なく昇り続けてゆく。「あぁ〜、あぁ〜、ああああ〜〜〜♪」俺は媚声を上げ、首を振り、身を攀ることで全身で快感を余さず受け止めようとしていた。
 彼の動きにも変化が表れる。彼もまた高みに達しようとしていた。息が荒くなる。しかし、今の俺には彼を焦らす余裕など皆無だった。俺もまた、最後の頂きを目前にしていた。快感に対する欲求が全てに優先する。
「うぅ゙!!」と呻き声が上がった。一気に達した彼は大量のザーメンを俺の中に吐き出した。
「ああああ〜〜〜〜!!!!」俺もまた、最高の嬌声を上げ絶頂を飛び越えていった。
 
 
 気が付くと、男は居なくなっていた。
 俺はベッドに寝かされていた。申し訳程度に毛布を掛けられてはいたが裸のままだった。膣から溢れ出たザーメンが俺の大腿の内側にこびり付いていた。
 床には俺の着ていた服の名残が散らばっている。ただ一枚、コートが無事に残っていた。俺はシャワーも浴びせられない身体にコートを着せた。
 靴は見当たらなかった。裸足のまま玄関に降りる。鍵の掛かっていないドアを開けた…
 
 
 
 
 
 パチパチパチ。俺は唐突に拍手に包まれていた。人々の輪の中から上席者らしい人物が前に出てきた。そして手にした紙を読み上げる。「改正新刑法S4条による刑の執行が終了したことを認める。」再び拍手が起こる。「あちらでシャワーを浴びていらっしゃい。新しい服も用意してありますよ。」
 改正新刑法S類…性犯罪においては被害者の身になって罪の重さを実感させるというようなものだった。だから俺も女にされていたのだ。だからといってレイプした被害者にそっくりにする必要はないんじゃないかとシャワー室の鏡に映る姿を再確認する。用意されていた服はセーラー服だった。
 他に着るものもなかったので、シャワーで汚れを落とした後にセーラー服を着てやった。刑の執行が終われば元の姿に戻される筈なのだがと不審に思いつつもクリーニングしたてのコートを手に外に出た。そこには先程の人物が待っていた。「これより改正新刑法K9条を執行する。」再び手にした紙を読み上げた。
 
ちょっと待てよ!!
 俺は慌てた。K9条は殺人を犯した場合に遺族の希望により加害者に被害者の身代わりをさせるというものだった筈だ。
「俺は殺しちゃいないぞ。女が勝手に自殺したんじゃないか。」
「これが裁判所の判決です。あなたもレイプで妊娠させられたからといって自殺しないようにお願いしますよ。」その視線が俺のお腹に注がれていた。そういえば、俺の中にはまだ男の精液が残っていた筈だ…
「ご両親は早く孫の顔が見たいとおっしゃっていましたからね♪」
 目眩がしてきた…
 俺はその場で気を失っていた。
 
 
 

−了−


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