これで萌えて〜



 
 1.彼のイタズラ
 
  満員電車に詰め込まれた
 
  わざとこの時間を選んで連れ出された
 
  吊り革にぶら下がる男の肘が僕の胸に当たる
 
  借り物の制服のスカートの中に
 
  彼の手が伸びて来た
 
 
 
 2.間違い
 
  慌てて飛び込んだそこには、見慣れないモノが存在していた。
  彼と一緒だし、今更入り直すには差し迫っている。
  アタシは意を決して扉を開けた。
 
  解放感に包まれる。
  そして、さらに充実感が宿った。
 
  そのまま立ち上がり、パンツを引き上げる。
  いつの間にか小さくなった胸がTシャツをだぶつかせていた。
  扉を開けるとすっかり変貌したアタシを見て彼が驚いた。
 「じゃあ、こんどはアナタの番ね。」
  アタシは彼を隣の方に連れていった。
 
 
 
 3.そこは…
 
  それは、ヴ〜〜〜ンと唸り音をあげている。
 「これが欲しいんだろう?」
  彼がそれを俺に近づけてくる。
 「あぁ……」
  俺の声は小さく、ただ、目に涙を浮かべるのが精一杯だった。
 「伏せるんだ!」
  彼の手が俺に触れた……
 
 
 「アッ。ア〜〜ン」
  あまりの気持ち良さに喘ぎ声が漏れる。
 「たかがマッサージ機に何て声を出すんだ。」
  彼の呆れた顔が目に浮かぶ……
 
 
 
 4.バレンタイン
 
  これまで気にした事はなかったが、彼に言われて思い出した。
  今日はバレンタインデーだ。
  女の子が想いを寄せる男の子にチョコレート等のプレゼントを送る。
  これまで、男の子だった時に一度としてもらった事のない僕が、
  彼にプレゼントするなど、思い付かなくても不思議はない。
 
  もう夜も遅い。
  本命チョコの残っているような店はもうどこにもない。
 
  僕は赤いリボンを買ってきた。
  首からバストにかけてリボンを掛ける。
  太股をぐるりと巻いて、
  かろうじて残っている男の徴にリボンで作った花飾りを止めた。
 
  これが僕からのプレゼントだよ。
 
 
 
 5.彼
 
  彼の上に跨がり
 
  彼を僕の中に入れる
 
 
 
 6.小便小僧
 
  公園の噴水の前で彼が突然言った。
 「なぁ、砂漠の真ん中で喉が乾いた時、
  お前なら小便小僧のと俺のとどっちを選ぶ?」
  砂漠の中に小便小僧などいる訳もないので、僕は適当に答えた。
 「小便小僧のは小さいけど硬いからなぁ。お前のはどうなんだ?」
  彼は黙ってしまった。
 
  しばらくして、ぼそりといった。
 「俺のを硬くて大きくしたら俺を選ぶよな?」
 
  それから彼の音信が途絶えてしまった。
  不審に思い、彼の部屋を訪ねると
  彼は小便小僧になっていた。
  ただし、そこだけはしっかりと大きくなっていた。
 
 
 
 7.スカウト6
 
  男の荒い息遣いと、僕の艶かしい喘ぎ声しか存在しない。
  彼の手がショーツに掛かる。
  それはもう、ぐっしょりと濡れていた。
 
  僕は彼の動きに合わせて腰を動かしていた。
  スルリと脚の先から抜き取られてゆく。
  与えられる快感に翻弄され、僕は自ら考える事が出来なくなっていた。
  彼の意思どおりに動かされる。
  股間が拡げられ、股間があらわとなる。
 
  滴り落ちる雫にスポットライトの輝きが反射する。
 
  僕は自ら求めていた。
  誘うように股間を突き出す。
  彼の指が太股の雫をぬぐい取った。
  それだけの行為に僕の蜜壺から液体が溢れ出る。
 
  僕は嬌声を上げていた。
 
 
 
 8.タキシード
 
  白いタキシードに包まれた彼女
  僕はベール越しに見つめている
  男女あべこべの結婚式
 
  参列者は何も気付かずに拍手を送る
  父に腕を引かれバージンロードを歩む
  彼女の待つ祭壇に向かって
 
 
 
 9.彼
 
  彼に抱かれている
  彼は昨日までの僕
 
  僕は抱かれている
  僕は昨日までの彼女
 
  鏡に映したように
  昨日と今日が入れ替わる
 
  昨日は彼女を抱いていた
  今日は彼に抱かれている
 
  今日の彼は昨日までの僕
  今日の僕は昨日までの彼女
 
 
 
 10.贈り物
 
  帰り際に彼からもらった贈り物
  赤いリボンに結ばれている
  僕はそくさくと家に持ち帰った
 
  包みを解いた
  中から現れたのは
 
  (……)
 
  それは、二人だけの秘密
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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