「またカレーなのか?」とスプーンで目を被う黒田。
「でも、撫子ちゃんのカレーは美味しいですよ。」と即座にパクつく山吹。
「俺のできる料理はコレくらいしかないからな。」と水の入った湯飲みを配ってまわる、元男の撫子。
ここは最強戦隊マックスマンの秘密基地である。折角厨房があるのだから、経費節減の為にも自前で何か作ろうという事になった。
「今度はコレにチャレンジして欲しいね♪」と青山が料理本を差し出した。「何で俺ばかり…」と恨めしそうな顔をする撫子。
「山吹の味音痴に作らせたら、リーダーが爆発するのは目に見えているからね♪」
所は変わってこちらは悪達の住み処
「おい、シルビア。」と大ボスが女幹部に声を掛けたが、一向に反応がない。
「おい!」と再び声を掛ける。「何?」と振り返る。「シルビアってあたしの事?」
「悪の女幹部だけではもたないらしく、名前が付いたようだ。ちなみにわしはゴルディだそうだ。」
「で、何の用?」
「お前が今食べようとしているのは、カレーを掛けたチーズケーキか?」「そうよ。奴等は何にでもカレーを掛けると美味しがる。カレーライス、カレーうどん、カレーピラフ、カレースパ、カレーチャーハン、カレーラーメン…だからありったけのカレーを買い占めてやったわ。そんなにカレーって美味しいのかしらねェ?」と皿の上のモノを口にした。
…
「だ、騙したわね!ちっとも美味しくないじゃない。目にモノ見せてくれるわ!!」と、女幹部=シルビアは怒りとともに下界へと出て行った。
「な、何だコレは?」男は頭の上に降ってきたモノを拭い取った。「カレー?」男が見上げるとビルというビルの上にカレーが掛けられていた。
「おーほっほ♪」と高笑いするシルビアの前に「もったいない事をするんじゃない!!」とマックスイエローが現れた。
「やはりイエローはカレーが絡むと出てくるのね?」「な、何年前の話ですか!」
「「トオーッ」」と他のマックスマン達も現れた。「お前達の好きにはさせないぞ!」とレッドがシルビアを指差した。
「我ら、最強戦隊マックスマン!」と5人が並ぶ。「戦闘員!!」とシルビアが叫び戦いが始まった。
「いやっ」とイエローの鎖が疾り戦闘員を絞め上げる。「今日は特別だ。ブートアップ!!」掛け声とともに鎖の端に刺付きの鉄球が現れた。
イエローが鎖を振り回すと、戦闘員達は次々と鉄球に弾き飛ばされていった。
「マックスストームだ。ピンク!マックスボールを出せ!!」とレッド。「いくわよ♪」とボールを投げ上げる。左右から飛び上がったブルーとブラックがマックスボールに突起を装着する。イエローが、ヘディングで更に高みへとボールを送り出した。
「マックスストーム、シュート!!」
叫び声とともに空中で回転したレッドがボールを蹴り落とす。
「チッ!」と瞬間移動するシルビア。残された戦闘員がマックスストームに倒された。
街を被っていたカレーも、奴等がいなくなると同時に消え去っていた。
「今回はイエローのカレーパワー爆発ってとこかな?」「だからぁ、僕とカレーには何の関係も無いんだってば!」と叫ぶが、イエローの事は誰も気にしていなかった。
「はっはっはっ」とワックスマン達の笑い声が青空に吸い込まれていった。
***
「と言うことで第3話だ。」「今回は買い占めたと言っても実際に大量のカレーを作った訳ではないですものね。この程度ならすぐに掃けますよ。」と今日もカレーを食べている山吹。「意外とイけるかもね♪」と煎餅にカレーを載せる青山。
「俺はもうこれ以上カレーには付き合わないからな。」と黒田が席を立った。「早く他の料理も覚えてくれよな。」と撫子に声を掛ける。
「じゃあ、今度はケーキ漬けにしてやるからな!!」と黒田の背中にアッカンベーっとする撫子。
「それ、いただきかも…」と呟いた青山は、第4話の構想にのめり込んでいった。
「おかわり♪」と山吹が空の皿を撫子に渡した。「で、イエローとカレーの関係って?」「それは青山さんの脚本だよ。僕は単にカレーが好きだってだけさ♪」
しばらくすると、山吹の前に山盛りのカレーが出てきた。
「いたたきまーす♪」山吹の元気な声が映研の部室に響き渡った。
(つづく)