企み



その日、優吾を食事に誘ったのは勿論別の目的があったからだ。
「飯を食おうというから、てっきり居酒屋とかに行くもんだとばかり思っていたよ。」
彼を僕のマンションに呼んだのは、単なる集合場所だと思っていたようだ。勿論、そう勘違いするように誘導はしたのだが…
彼を招き入れた食卓には、僕の手料理が並んでいた。
この日の為に努力した成果である。
「凄いな♪これならいつでも嫁に行けるぞ!!」
と、嬉しいことを言ってくれる。
できれば、僕は優吾に娶ってもらいたいのだが、今それを口にする訳には行かない。
でも…
今夜は満月の夜♪
午前0時になれば、お嫁さんにはなれなくとも、優吾の子種くらいはいただける筈だ♪
 
 
そう…僕の呪われた肉体は、満月の夜午前0時から3時までの間、「女」になってしまうのだ。
 
ここ数ヶ月、女になる度に何故か優吾を想いながら自慰を繰り返していた。
その成為か、昼間も優吾の事が頭から離れなくなってしまった。
まるで恋する少女のような感じだった。
(優吾本人とひとつになりたい♪)
日に日に大きくなる欲求を実現させるための確実な手順を考え、実現に向けて努力をしてきたのだ♪
 
 
 
「今日は泊まっていってくれるのだろう?」
「ああ、そう言われいたからな♪泊まりなら普段話せない事もじっくり話せるものな♪」
僕は食事の後片付けを済ませた。
雑談をしていると、ピピピッと風呂が沸いた知らせが鳴った。
優吾を風呂場に追いたて、僕はベッドの周りを綺麗にしておいた。
時間はそろそろ午前0時になる。
「ありがとう。次、良いぞ。」
と僕の用意したパジャマを着て優吾が戻ってきた。
「いや…僕はいいんだ♪」
僕の肉体は既に女へと変わりつつあった。
「今日は優吾に僕の事をもっと知ってもらいたいんだ。」
僕はフェロモンが優吾を包み込む様をイメージした。
そして、服を脱いでゆく。
勿論、その姿を見せ付けるようにだ♪
 
「ど、どうしたんだ?お前、その胸っ!!」
「うふっ♪良く見て♪これが僕の本当の姿なんだよ♪」
はだけたシャツの下でおっぱいがTシャツを押し上げている。
乳首の形もしっかりと浮き出ていた。
「良く見て♪本物だよ♪」
とTシャツを捲り取った。
フェロモンの効果もあり、優吾の股間が激しく反応していた。
「下も見せるね♪」
優吾は僕の声も甲高い女の声に変わっているのに気が付いているのだろうか?
「こっちで、もっと良く見て♪」
全裸になった僕は優吾の手を引き、ベッドに上がった。
 
フェロモンに酔っているのだろう。
優吾は僕にパジャマを剥ぎ取られたのにも気が付いていないようだ。
彼の股間では、僕の欲しいモノが身震いしている。
 
「ほらっ♪触っても良いんだよ♪」
僕はベッドの上で股間を開き、濡れ始めた女陰に顔を近づけさせた。
「んあっ!!」
突然の刺激に艶声を洩らしてしまった。
優吾が舌を伸ばして、僕の股間を舐めあげたのだった。
(優吾が僕を「女」と認識してくれた?)
その舌は割れ目を上り、臍の上を這い進んで胸の谷間に挟まった。
僕は手を添えて、おっぱいで優吾の頬を挟み込んだ♪
優吾は僕から顔を離すと、左右の乳首を交互に舐めあげた。
「ん…ぁあん♪」
堪えきれずに艶声が次々と零れ落ちてゆく♪
広げた股間に優吾が填まり込んでゆく。
彼の憤り勃った肉棒が僕の下腹部に押し付けられていた。
「来て…♪」
僕が腰を揺らすと、彼の尖端が膣口に填まる♪
「良いよ♪」
と僕が声を掛けると、優吾はゆっくりと腰を沈めてきた。
 
優吾が僕のナカに挿入ってきた。
優吾が僕を満たしてくれている。
(さあ♪優吾の全てを僕のナカに吐き出してくれっ!!)
声には出さずに僕はぎゅっと優吾を締め付けた。
「っあ!!」
今度は優吾が声を漏らした。
射すまいと、必死に堪えている♪
「良いのよ♪快楽に任せてしまって♪何も問題ないから♪」
僕は優吾に甘く囁き掛ける。
「あたしに優吾のを頂戴♪」
「愛してる♪」
「一緒にイきましょう♪」
 
僕のナカで優吾が張り詰めてゆくのがわかった。
そして、堰を切ったように、勢い良く僕のナカに優吾の精液がなだれ込んできた。
「ああっ!!イイ〜〜っ!!」
僕は快感に絶叫していた。
優吾が僕を抱きしめ、最後の一滴までも僕の奥に送り込もうとしていた。
 
 
 
「おはよう、優吾♪」
僕は朝食をテーブルに並べるとベッドに寝ていた優吾に声を掛けた。
「えっ!!朝?」
と優吾は飛び起きると
「昨夜はすまん。責任は取らしてもらう!!」
と頭を床に擦り付けていた。
「責任…って何のコト?」
僕は素知らぬ顔で優吾に聞いた。
「責任って、俺はお前の中に生で射してたんだ。妊娠とかしてたら…」
と、僕を見て言葉を詰まらせた。
「男の僕でも妊娠なんてするのかな?」
「お…お前、昨夜は確かに女だった?」
「僕は生まれた時から男だよ♪夢でも見てたんじゃないか?」
「確かに俺は女のナカに…」
「僕も優吾も疲れてたのか、風呂から出たとたん、ベッドでぐっすりだったよ♪」
優吾は納得できないまま、僕の作った朝食を平らげていった。
「やっぱりお前、善い嫁さんになるよ♪」
「昨夜もそんな事言ってたね。だから、僕が女に見えたのかも?」
 
優吾はしばし考え込んでいた。
そして
「決めた!!」
と両膝を叩いて立ち上がった。
「お前を俺の女にする!!」
そう言うと、僕を抱きしめキスをした。
「な…何を突然…」
とは言っているものの、僕は嬉しさではち切れそうになっていた♪
「間違いない。昨夜の女はお前だ!!」
それは間違いではないが…
「だから、今日は俺とデートしろ♪」
 
 
 
訳がわからないまま、僕は連れ出されてしまった。
そのまま近くのブティックに放り込まれた。
「これが良い♪」
と差し出されたのは青いワンピースだった。
僕は女の肉体になることはあっても、それは深夜の三時間だけである。
これまで女の衣服などは着たこともなかった。
「女装…するの?」
「お前は俺の女だ。女が女の服を着ても女装とは言わない。」
勿論、スカートの下にはストッキングを履かされ、靴も女物のサンダルに変えさせられた。
次には美容院に放り込まれ、髪の毛を女らしく仕上げるとともに、お化粧まで施された。
鏡の中の僕はもう「女」にしか見えなかった。
 
「じゃあ、行こうか♪」
とお決まりのデートコースを巡ってゆく…
女の格好をしているからか、自分が本当に優吾の「彼女」になっているように感じていた。
満月は昨夜なのに…
まだ夜でもないのに…
僕は女の肉体に変化する時の何とも言えない感覚を感じていた。
 
食事の後、トイレに行った。
この姿で男性用に入れる筈もない。
女性用トイレには勿論小便器はない。
個室に入りスカートを捲った。
僕の股間には何もなかった…
正確には女の股間に変わってしまっていたのだ。
否…股間だけではない。
胸の型を整えるために重ねて入れたパッドが胸を締め付けていた。
ブラの中からパッドを抜いても十分な程、僕の胸も膨らんでいた。
(何故?)
と、今ここで悩んでいてもどうなるものでもない。
僕は服を整えて、優吾の所に戻っていった。
 
 
 
 
満月の日の夜だけの筈だったのに…
僕はその晩も女として、優吾に抱かれていた。
女の快感に我を忘れて、優吾の精を目一杯呑み込んでしまっていた。
優吾の子種が僕の子宮に根付くのを実感する。
僕はもう「男」に戻ることはないのに違いない。
否…僕はもう男に戻りたくはなかった。
このまま女として、ずっと優吾に抱かれていたいと思う♪
「死ぬまで、お前を離さないからな♪」
そう言ってくれる優吾に、僕は濃厚なキッスで応えていた。
 
 
 


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