事故で両親が他界し、高校を中退して働いてくれた姉さんには感謝している。
元々頭の良い姉さんは三年後には会社を起こしていた。
結構姉さんの企画が当たり、会社も順調で僕を養うお金には困らなかった。
 
僕は姉さんのおかげで、高校を卒業し、大学にも入れてもらえた。
しかし、仕事に追われた姉さんは「青春」を謳歌する事ができなかった。
「あたしが出来なかった事、みんなやってくれると嬉しいわ♪」
姉さんが喜んでくれるので、姉さんが行けなかった大学の学部に必死で合格した。
元々の僕はあまり積極的に外に出る方ではなかったが、夏は海水浴、冬はスキー
と、姉さんができなかったことを可能な限りしてあげてきた。
元々の僕はファッションにも拘らなかったので、姉さんがコレを着て♪
と言われたものを素直に着ていた。
 
「今度の成人式ね…」
と姉さんが僕に言った。
「振り袖を着て式に出たかったんだ…」
 
僕は姉さんの振り袖に身を包んでいた♪
 
 


    次を読む     INDEXに戻る