「なあ、俺の妹になってくれないか♪」
 「な、何を唐突に?」
 言ってきたのは小学校からの腐れ縁の親友である。
 「俺、一人っ子だろう?一度で良いから妹に『お兄ちゃん♪』て言われてみたいんだ♪」
 「何だよ、その論理は?」
 「お前んとこは姉ちゃんだったな。女の兄弟がいるって良くないか?」
 「姉貴は『女』って言ってもなぁ…」
 毎日のように弟を扱き使う奴を「良い」と言えるだろうか?
 「そんなに悪く言うもんじゃないぞ。俺が相談に行ったら『良いんじゃない♪』って言ってくれたぞ。」
 「…ま、まさか変な薬とかもらってないだろうな?」
 と言った途端、頭がくらくらしてきた。
 「当然、今お前が飲んでる珈琲に入れておいたよ。それから彼女の高校の時の制服も預かってきた♪」
 「な…何を勝ってに!!」
 意識が薄れてゆく。
 「なあ、目が覚めたら俺のこと『お兄ちゃん♪』て呼んでくれな♪」
 遠く…近くに親友の声が響いていた。
 ボクは闇の中に落ちていった。
 姉ちゃんの薬に催眠暗示の効果がないことを期待しながら…
 
 


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