ボクのお腹の中で子宮が動いている。
薬を飲み始めて1週間が経った。まだ、外見に変化はないが、ボクの身体の中は着実に女のコに変わっていっている。
胃も大分小さくなったようで、もう前ほどご飯が食べられなくなってきた。
そのせいか、体重がどんどん減ってきている。
そのうち、腕も脚も女のコのようにほっそりしてくるのだろう。
胸に手を当ててみると、痩せ始めている筈なのに、そこだけふっくらと膨らみ初めている気がする。
あと1ヵ月もすれば、ボクはどこから見ても女のコになる。
ブラジャーに包まれた胸の膨らみを想像する。
余計な膨らみのないショーツの股間を想像する。
お化粧をして、鏡の中で髭跡が残っていないか探さなくても良い。
自然と可愛らしい声が零れる喉元はすっきりとしている。
胸元が大きく開いたノースリーブのワンピースを着て街を歩く。
女のコになったボクを想像する。
それは、あと少しで現実のものとなるのだ。
ボクは机の引き出しから「女のコになる薬」を取り出した。
今日の分を1錠取り出して、口の中に入れる。
コップの水とともに喉の奥に流し込む。
そしてベッドに入って眠りにつく。
明日はどれだけ女のコに近づいているだろう?
薬を飲み始めて3週間が過ぎた。
その日、朝から気分が優れなかった。
トイレの便器に腰を降ろす。身体の中から何かが出てきた。
白い便器が赤く染まっている。
ペーパーで汚れを拭い去ったあと、指先をそこに這わせた。
おちんちんの根元に秘裂が出来ていた。
そう、これはボクの初潮なのだ。
初めての生理。
ボクはポーチからタンポンを取り出した。
説明書を見ながら装着する。
ソレはボクの中に納まっていった。
ボクは女のコになった事を実感する。
いままでは、身体の中の変化を想像する事が精一杯だった。
しかし、今ボクの目の前の女のコの証が存在する。
自分が着実に女のコになっていく証がそこにあった。
部屋に戻り、トランクスの下に生理用ショーツを穿いた。
痩せて手足は細くなったと言っても、ボクの外見はまだまだ男のままなのだ。
男物の服を着てコンビニに出かけた。
お赤飯のおにぎりを買った。
朝から体中がミシミシと音を立てていた。
体中の骨がその姿を変えているみたいだ。
その日は一日中ベッドの上にいた。
夜、薬を取りに机まで這って行った。
「女のコになる薬」は残り3錠になっていた。
翌朝はスッキリとした目覚めを迎えた。
パジャマを脱ぎ、鏡に全身を映した。
胸はまだ平らだし、股間にはオチンチンが残っているものの、ボクの身体は女のコになっていた。
骨盤が広がり、ウエストのくびれが際立っている。
肩幅が狭まり、胸板も薄くなっている。
喉仏が消え、顔の造りも丸くなっていた。
女物の服を着る。
昨日まではどんなに頑張っても「女装」にしか見えなかったのが、今朝は何も違和感がない。
胸の膨らみの足りない分はこれまでどおりストッキングとパットで補正する。
鏡に映る「ボク」はお化粧をしなくても女のコに見えた。
その日は大掃除の一日になった。
クローゼットの中から男物の服が消え、カラフルなスカートやワンピースに置き換わった。
引き出しの中の下着もパステルカラーに埋めつくされた。
グラビアアイドルのポスターを剥がし、男性アイドルの写真を貼った。
カーテンも取り替えた。
床や本棚にある本や雑誌も全部捨てた。
隠し持っていた女性誌を本棚に並べる。
ボクの部屋は「女のコの部屋」になった。
その晩。ボクは最後の1錠を飲み込んだ。
もう、股間には邪魔者はいない。
胸の膨らみはまだまだだが、乳首はしっかりと突き出している。
伸びてきた髪の毛も美容院に行って女のコらしくカットしてもらった。
明日の朝、ボクはどんな女のコになっているのだろう?
布団にくるまり、しばらくすると身体が火照ってきた。
何が起こったのか?
しかし、これが女のコになる最後のステージであることは確かだった。
無意識のうちに掌がパジャマのズボンの中に入っていった。
ショーツの下に這い進む。
指先が到達した所は、熱く濡れていた。
指先が敏感な所に触れる。
「アンッ♪」
愛らしい吐息が漏れる。
さらに指を動かす。
「ン♪アウン♪アッアッア…」
いつのまにかボクはベッドの上で全裸になっていた。
股間を広げ、両手を使って弄ぶ。
快感を求めて、幾本もの指が挿入される。
「アウ、アウ、アアア…」
オンナの快感がボクを揺さぶる。
(誰か助けて…)
ボクは必死に願った。
狂おしいばかりの欲望を満たしてくれる者が欲しかった。
それは「男」
ボクの蜜壺に押し入って、ボクを抱きしめ、目茶苦茶に愛してくれる者を欲していた。
「男」に抱かれるボクは「女のコ」
ボクは「男」の腕の中で喘ぎ、悶え、乱れまくる。
「アン、アン、ア〜〜〜ッ♪」
ボクの中で男のモノが頂きを迎える。
硬さを増したその中を熱い塊が昇ってくる。
ボクは力強くソレを押し包む。
男が嗚咽を漏らす。
ボクももう少しで頂きを迎える。
男が最後の一突きを入れた。
ボクの中に開放されたセーエキが飛び込んでくる。
ボクは全身でそれを受け止めた。
「ア〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」
心地よいまどろみから舞い戻る。
新しい朝を迎えていた。
ベッドから起き上がり鏡を覗く。
そこには「女」になったアタシがいた。